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執筆者の写真abフライ

小さな死


オフ会ありがとうございました

アドレナリン出まくってバロヒス書いちゃったけど初長文なので誤字脱字やら句読点ガバガバやらそもそも話がまとまってないとか色々あります


スマホのメモ帳で書いたのでスマホで見ないと改行がやばやばのやばかもしれません

ヒスタリオが終始ご奉仕してて卿がひたすら耐えるやつなのでそれでもいい人向け 御免!





黒い荒野があった。

月に厚い雲がかかり地上への光は遮断されている。魔物にすっかり踏み固められた土は、その硬度で植物が芽を出すことすら許さない。

風が土埃を僅かに巻き上げる中、一筋の切れ目のようなものが大地に見えた。

ヒスタリオは利き手にリュートを、空いた腕に紙の包みを抱えていた。数メートル歩く度にバランスをとるため抱え直す必要があるぐらい大きな包みだった。

「お待ちかねの救援物資だ」

大地の切れ目の淵に立つなり、ヒスタリオは大きく口を開けている闇に向かってそう言った。

切れ目はまるで落とし穴のようにヒスタリオを待ち構えていたが、落とし穴と形容するにはそれはやや大きすぎた。身軽なヒスタリオでも、仮に跳躍でこの大穴を飛び越せるかと問われればわからないと答えるしかない。

「寝ているのか?何とか言ったらどうなんだよ」

ヒスタリオは自分の声が闇に溶け込むのをしばらく待ち、ため息をついてから荷物を降ろした。

「……ヒスタリオか」

大穴の底深くから、静かな問いかけが返ってきた。天空の偉大さをそのまま音に変換したような、荘厳な声だった。

「なんだよ、ばっちりお目覚めじゃねーか」

「ああ、少し瞑想をしていた」

「相変わらず好きね、めーそー」

ヒスタリオは呆れたように肩をすくめて、紙の包みを穴へ蹴り落とそうと脚を動かした。

「そこから俺の姿が見えるか?」

「すまないが、あまり良く見えない」

「……チッ」

舌打ちを一つして、ヒスタリオは大穴の淵に腰かけた。適当な足場を探った後、くるりと身体を反転させてゆっくりと身体を降ろし、また次の足場を探す。

「不便なところに住むのは勝手だが、付き合わされる方の身にもなってほしいぜ」

ヒスタリオは手探りで地上の荷物とリュートを手繰り寄せ、適当な岩の上に置く。暗闇に包まれているこの大穴は岩肌の凹凸が大きく、ちょっとした荷物を置けるような出っ張りがそこかしこにあった。途中で岩が階段のようになっている箇所があり、ヒスタリオは両腕にリュートと紙の包みを抱えてひょいひょいと一気に下った。

「腹減ってる?」

「いつもすまない」

ヒスタリオは紙の包みからロウソクを取り出すと炎の冥力を灯した。暗闇に浮かび上がったのは、額に大きな傷を負った魔人の顔だった。正確にはもう魔人ではない。言うまでもなく、星を無くしたバロンだった。

「肉とチーズとパン、あとなんだったかな……まぁ適当な食糧だな。それと水と酒と……」

ヒスタリオの持ってきた紙の包みには少量ずつ、多岐に渡る品目が詰め込まれていた。

「これだけ持ってくるのは大変だっただろう。感謝する」

「俺のことはかまわず、まずは食いなよ」

何に対しての感謝のつもりなのか、バロンはわざわざ手を合わせて目を瞑った。そして飢えを感じさせない手つきでヒスタリオの持ってきた食糧を黙々と口に運び始めた。

(どこまでもお上品だこと)

ヒスタリオは小さな酒瓶に手をかけたが、これはわざわざ卿のために持ってきたのだったと思い直して一旦腕を組んだ。卿の食事シーンに特に興味はないので紙の包みの中の物を手で漁る。酒瓶と同じくらいの大きさの瓶があった。

「あんた、その量じゃ全然足りないだろ?」

「いや、おかげで助かった。残りも少しずつ大切に食べさせてもらう」

天空王バロン、いや、星を無くしたバロンが姿を消してから矢のように時間が過ぎた。

ビィトを相手に短期決戦を決め込んだヒスタリオも、一枚岩ではない人間たちを相手にかなり手こずっていた。今はグランシスタから撤退し、ライオや他の手下とも別行動をして新たなる友人候補を探している。

友達が欲しい。力がある格別な奴。さらに、ある種の借りがある相手と言えば一人しかいない。

バロンが何故人目のつかない場所でひたすら瞑想を続けているのか、ヒスタリオにはどうでもいいことだった。あらゆる手を使ってバロンの居場所を突き止めた今、さっさと一方的にでも友好関係を築くことが今のヒスタリオにとっての全てである。

久しぶりに再会したバロンは、ヒスタリオを苛立たせる程に落ち着き払っていた。星を失いただ深い穴の底で瞑想をしているだけなのに、バロンの冥力はおぞましく強まっているようだ。ヒスタリオはその凄みを肌で感じて武者震いを起こしそうになった。

バロンを殺すには牙流転生を正面から当てるぐらいでなければならない。そういった意味ではこの暗闇の大穴は戦闘には不向きである。ヒスタリオはひとまずバロンを殺すことを諦め、むしろ敵に塩を送ることを提案した。

バロンとしても少量でも食糧を届けてくれる存在はありがたかったらしく、バロンの世話を定期的に焼くヒスタリオという妙な関係が生まれていた。

「それで、お前が私に求める見返りはなんだ」

「あんたの命以外、何がある?卿」

先ほど紙の包みから取り出した瓶を手で弄びながら、ヒスタリオはバロンに問いかけた。

「私を信用させてから食糧に毒を盛るような姑息な真似は、短気なお前からは想像できない」

「俺もね、こんな回りくどいことはしたくねぇんだ……さっさと殺りてぇ」

ヒスタリオは座しているバロンに近づくと己の右脚をむりやりバロンの両脚に擦り付けた。早く閉じた脚を開けと言わんばかりに。

バロンは体勢を崩し、両手を後ろについて脚も軽く開いた。ヒスタリオはしゃがみこんでバロンの脚と脚の間に細い身体を滑り込ませた。

「何をするつもりだ……」

「俺にとっては楽しいコトだけど、あんたにとってはどうかな」

ヒスタリオの骨ばった指がするするとバロンの下腹部に伸びた。バロンの割れた腹筋は意外としなやかで柔らかい。そのままヒスタリオが手前に指を動かそうとすると、バロンは右手でヒスタリオの手首を掴んだ。

「止めるなよ。ただの善意で運び屋をやってたわけじゃないんだぜ、俺は」

ヒスタリオが鋭い目で睨むと、バロンは何か言いたげながらも無表情で右手をまた後ろに戻した。

バロンはバロンでヒスタリオの思惑がわかっていない。しかし、仮にヒスタリオに命を狙われても返り討ちにできるという絶対の自信がある。

そこにヒスタリオがつけこむ隙がある。

「ここ最近良いもん食ってたからそろそろ滋養がついてきた頃だろ? 搾り取るにはまず栄養を蓄えてもらわねぇとな」

「お前の考えは到底私には理解できないだろう。好きにしろ」

全くと言っていいほど噛み合わない会話をよそに、ヒスタリオの指はバロンの身体の中心よりやや下の部分に到達していた。

普段は目視できないほどの切れ目が細く走っており、軽く押すと柔らかく肉が割れヒスタリオの指を迎え入れた。

自分の秘部を暴かれようとしているのに、バロンの表情はまだ変わらない。ヒスタリオはその澄ました顔を睨みながら指を擦りつける動きに変えた。

「ここ、弄られて何か感じないのか?」

「爪が刺さったら痛そうだな」

バロンは声色も冷静そのもので、ヒスタリオの方が拍子抜けして笑い出しそうだった。

ヒスタリオは人差し指と中指を肉の割れ目に当てがい、左右に開いてみた。灯りが足りないので色までは判別できないが、スリットの中にしまわれている陰茎が少し見えた。

「ハァ……やべ、なんか俺の方が興奮してきた」

ヒスタリオはニヤリと笑って軽口を叩くと、一度手を引っ込めて透明の小さい瓶の栓を開けにかかった。程なくしてキュポンという音が鳴った後、地面にコルクが転がった。

「その液体は一体なんだ」

「いいから……」

ヒスタリオは左手で瓶を傾け、とろりと垂れてくる液体を右手で受け止めた。液体は料理に使うオイルのように見えるが、それにしては若干粘度が高いようにも見える。

「ちょっと待ってろ、今あっためてっから」

やや沈黙があって、ヒスタリオは謎の液体に塗れた手をバロンのスリットに塗りつけた。すると、やっとバロンの腰が一瞬だけ跳ねるように動いた。

「ハハッ、やっぱ気持ちいーだろコレ」

ヒスタリオはぬちゃぬちゃとわざと下品な音を立てるようにぬるつく液体と空気を混ぜる。爪を立てないようにバロンの大事な部分を撫でると、あまり時間をかけないで陰茎が露出してきた。

「ヒスタリオ……」

バロンの声は先ほどからあまり変わらないようでいて、少しばかり吐息が混じってきた。

ヒスタリオは口元だけ楽しそうに歪めながら、無言でバロンの陰茎全体に粘液を塗りつけた。

最初はヒスタリオの掌に収まりそうだった肉棒がみるみるうちに膨張し、血管が浮き出るようにまでなった。

バロンは真っ直ぐヒスタリオを見つめていたが、いつもの意思の固い瞳が僅かに揺らめいているようだった。それに気を良くしたヒスタリオは、バロンの陰茎のピンと張った裏筋を指先で慎重にクリクリと円を描くように刺激してやった。

「っ……」

バロンは声というよりは掠れた吐息を漏らして静かに目を閉じた。あのお高く止まった、かつては天空王とまで呼ばれた男の目を閉じさせた。ヒスタリオは嗜虐心からなる興奮で思わず自分の唇を舌で舐めた。

「声、我慢しない方が気持ち良いんじゃねぇか?」

バロンがそんなはしたない姿を見せるはずがないことを知っていて、ヒスタリオは誘惑した。この甘い快楽にもっと堕ちてしまえば良い。そうしたらまた拾って叩き落とすまでだ。

ヒスタリオは乾いてきたバロン自身にまた人肌の温度の液体を塗りつけた。じゅっ、じゅっ、とリズミカルに全体をしごいてやったり、カリ首を重点的に指の輪っかで擦るように締めたり、ありとあらゆる手管を惜しみなく用いた。

ヒスタリオの手が良い所を掠める度にバロンの呼吸は乱れ、空気を求めて薄く開いた唇が震えた。ヒスタリオは疲れてきた手首をしならせて最後の追い込みをかける。

「なぁっ、もう我慢しないでイッて良いんだぜ?卿……!」

バロンが静かに乱れる姿に当てられて、ヒスタリオもいつもより声が上擦っていた。とっくにズボンは窮屈になっていたが、今は自分の快楽を追うよりバロンにトドメを刺したかった。

「ヒス、タリオ……手を離せ」

「……やだ」

ヒスタリオが言い終わるか終わらないかの内に終わりはやってきた。ヒスタリオの手の内に生暖かい感触があったかと思うと、白い精液がもうべっとりとヒスタリオの手を、腕を濡らしていた。

バロンの身体は小刻みに痙攣し、その度に亀頭から濃い白濁が勢い良く漏れ出た。魔人は個体差が大きく射精の量もバラつきが大きいが、バロンはその中でも特に時間をかけて大量に射精をするタイプらしい。ヒスタリオの手では受け止めきれなかった精液が、バロン自らの腹や腿を白くまだらに染めていった。

「すっげぇなこりゃ、こんなに溜め込んでて欲求不満にならなかったのかぁ?」

長い射精を終えて白く汚れに汚れたバロンの身体を、ヒスタリオはニヤつきながら眺めた。

「…………」

バロンは地面に仰向けに倒れていた。うっすらと目を開けてはいたが、宙を見つめたきり無言のままだった。

ヒスタリオは、収縮を始めているもののまだスリットに収まりきらないバロンの陰茎に口を寄せた。

「…………っう!」

バロンは短く呻くと頭だけ動かした。驚いたことに、ヒスタリオがバロンの萎えかけたモノを咥えて吸っていた。

ヒスタリオが唇に力を入れると、尿道に残っていたバロンの精液がトロトロと喉に流れ込んできた。

「……ぷはっ、なんだ、まだ結構残ってるじゃねえか」

「何をしているんだ……」

「あ?お掃除フェラ嫌い?」

「…………」

再び無言で地面に倒れたバロンをよそに、ヒスタリオは亀頭にも舌をねじ込んで、根元に垂れた精液も丁寧に舐めとっていった。

その献身の効果があってか、一度萎えかけたバロンの陰茎は再び硬度を取り戻しつつあった。

「なぁ卿、あんたまだまだイケるよな?」

「どうやらそのようだな……」

バロンの声はどこかぐったりとして重たかったが、ヒスタリオは透明の瓶を手に取りまた中身を出し始めた。

「ちなみに、この瓶が空になるまであんたのことイカせるから」

ヒスタリオの非情な宣告にバロンは目を開いた。ヒスタリオが瓶を揺らしているのか、タプタプと水音が聞こえる。まだまだ使いきれそうにない量の瓶の中身を想像して、バロンは観念したように目を閉じた。

バロンは倦怠感すら感じる暇なく、気絶するように眠りに落ちていた。しかしそれもほんのわずかな時間で、覚醒した意識はすぐ隣に座っているヒスタリオに向けられた。

「なんだ、もう起きちまったのか……」

何故か残念そうなヒスタリオがそう小さく呟いた。

「どっかの国ではよ、セックスの後の深い眠りを小さな死と言うらしいぜ」

ヒスタリオは無表情で、何も重要なことは言っていないという素ぶりだった。しかし、バロンはその言葉こそがヒスタリオの奇行の原因であると瞬時に理解した。

「まさかこんな形でお前に死を与えられるとは思わなかったぞ」

バロンは上半身だけゆっくりと起こすと、こちらを見て薄く笑うヒスタリオを見つめ返した。

「殺すってのはよ、やっぱり愛なんだよな……俺の」

先に目線を逸らしたのはヒスタリオだった。

「じゃ、まあ次は本当の意味であんたを殺すから、その時はよろしく。卿」

リュートを持ち岩場を登っていくヒスタリオはどこまでも飄々としていてふざけた存在だった。しかしバロンはそのヒスタリオの後ろ姿に何か陰りを感じてふいに引き止めたくなった。気づけば空は明るい。陰が濃く感じるのは光が良く差し込むようになったからだろうか。




なんか小さな死云々はフランスのお話らしいです オシャレやね






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